駅のそばに、1人用の寝床がずらりと並ぶ宿。それがカプセルホテルです。
小さな空間を目いっぱいに使った、どこか近未来的な宿。多くは大都市の主要な駅や空港の近くにあり、料金は一泊2,000円から5,000円が相場です(繁忙期などには上がることもある。東京都の公式観光サイト GO TOKYO、2025年6月の更新)。探すなら、いちばん長く過ごしたい地域の真ん中で。町の真ん中に、手ごろに泊まれる宿です。
カプセルホテルの決まりごとの多くは、「カプセルは眠るための場所」というところから出てきます。荷物はロッカーに、くつろぐのはラウンジやお風呂で。そう分けて使う宿だと分かると、泊まり方が見えてきます。
この記事で見るのは、6つです。
- カプセルの中 ― 眠る、明かりを調える、充電する
- 貴重品と荷物 ― 鍵のかわりに、ロッカーとフロント
- 眠れるか ― 音は聞こえる。だから耳栓
- 女性ひとりなら ― 女性専用の店と、女性だけの階
- 時刻と連泊 ― 昼のあいだの過ごし方は、宿で違う
- お楽しみ ― 大浴場、朝風呂、手ぶらで泊まれるアメニティ
1 カプセルの中 ― 眠る、明かりを調える、充電する
平均的なカプセルは、幅1.2メートル、長さ2メートル、高さ1メートルほど。一列に並んでいる宿と、上下2段に重なっている宿があります。入口は、扉かカーテンで仕切られています。
中にあるものは、宿によって違います。
- ナインアワーズ ― コンセント、USBの充電口(一部の店を除く)、明かりを調整するスイッチ、ロールスクリーン、マットレス、枕、掛け布団
- ファーストキャビン ― 鍵のかかるセーフティーボックス
- ナデシコホテル渋谷 ― ファン、読書灯、USBの充電
カプセルの中に、トイレやお風呂はありません。トイレは各階の端に、共同のお風呂は建物の中にあるのがたいていで、自分の階にあるとは限りません。
閉じた空間なので、重い閉所恐怖症の人は避けたほうがよいでしょう。そのうえで、多くのカプセルホテルは、体を動かす余裕があり、いつでもカプセルの外に出られます。ナインアワーズのカプセルは、内側に角のない、繭のような形をしています。
カプセルの中でするのは、眠る、明かりを調える、充電する。くつろぐのは、外のラウンジやお風呂で。そう割り切ると、この狭さが気にならなくなります。
2 貴重品と荷物 ― 鍵のかわりに、ロッカーとフロント
たとえば、一晩はこう流れます。チェックインしたら、荷物と貴重品を預けて、館内着に着替える。お風呂やラウンジでくつろいで、最後にカプセルに入って眠る。
カプセルの入口には、鍵はかからないことが多いです。貴重品と荷物をどこに置くかは、宿ごとに決まっています。
- ナインアワーズ ― カプセルには施錠ができないので、貴重品も荷物もロッカーへ。カプセルのある階へは、荷物を持ち込まない
- 安心お宿 ― 大きめのロッカー
- ファーストキャビン ― キャビンごとに、鍵のかかるセーフティーボックス
- ナデシコホテル渋谷 ― 荷物は、泊まる階の共有スペースで預かる
だから、着いたら、まず宿の決めた置き場所へ。宿によっては、守りがもう一段あります。安心お宿は、泊まる人だけが持つセキュリティキーで入る階で、外の人は出入りできません。ナインアワーズでは、非常時を除き、連泊している人のロッカーをスタッフが開けることはありません。
ロッカーに入れてしまえば、手ぶらです。そのままお風呂へも、ラウンジへも行けます。
スーツケースは、フロントへ
大きなスーツケースは、ロッカーに入らないことがあります。たとえば安心お宿のロッカーは、機内持ち込みサイズのスーツケースが入る大きさまでです。
ロッカーに入らない荷物は、ここで見た会社の多くの店で、フロントや決まった場所で預かってくれます。ナインアワーズには、荷物を前もって送っておくこともできます。送り状に、泊まる人の名前(ローマ字)とチェックインの日を書き、チェックインの日に届くように送ります。空港の店や無人の店などは、例外があります。
大きな荷物はフロントへ。自分は身軽になって、町へ出られます。
3 眠れるか ― 音は聞こえる。だから耳栓
まわりの音は、聞こえることがあります。ファーストキャビンも、カーテンの仕切りなので、多少まわりの音が聞こえることがある、と自分で書いています。
そのための耳栓を、用意している宿があります。
- ファーストキャビン ― 気になる人には、フロントで無料で渡す
- ナインアワーズ ― 希望する人に、フロントで無料で配る
- 安心お宿 ― アメニティの中に、耳栓
音の少ない寝床を選べる宿もあります。安心お宿は、天井の高さが1.4メートルある部屋を上の段だけに用意していて、まわりの音が気になりにくい、というのが売りです。新宿駅南口店(男性専用)では、この部屋に吸音材が入っています。
自分の音も、小さく
カーテンや扉は、防音ではありません。だから、カプセルホテルでいちばん大事な作法は、静かにすること(日本政府観光局 JNTO、2019年3月時点の案内)。
- テレビや音楽は、ヘッドホンで
- 朝の目覚ましに気をつける(光で起こしてくれるカプセルもある)
- においの強い食べ物は避ける。カプセルの中では、食べ物をいっさい禁じている宿も多い
- 写真は、ほかの客を写さないように。シャッターの音にも気をつける
細かい決まりは、チェックインのときに宿が説明してくれることが多いので、迷ったらそれに従います。たとえばファーストキャビンは、大浴場とパウダールームでの撮影を、原則として禁じています。
食べるのは、ラウンジで。ナインアワーズも安心お宿 新宿駅南口店も、カプセルの中での飲食は断っています。ナインアワーズは施設の外で食べてもよく、ラウンジの無い店もあります。
耳栓をもらって、眠るための場所と割り切る。そうすると、駅のそばに、手ごろな値段で泊まれます。
4 女性ひとりなら ― 女性専用の店と、女性だけの階
カプセルホテルの利用者は、ほとんどが男性。男性しか受け入れない宿もあります。一方で、女性専用のカプセルホテルもあり、男女とも泊まれる宿でも、たいていは男性の階と女性の階が分かれています。
- ナインアワーズ ― 女性専用の店(ウーマン新宿など)。ほかの店にも女性専用のエリア(男性専用の店を除く)
- ファーストキャビン ― 館内が男性のエリアと女性のエリアに分かれている
- 安心お宿 ― 店ごとに、男性専用・女性専用・男女で階が分かれた店がある
- ナデシコホテル渋谷 ― 女性限定のホテル
同じ会社でも、店によって男性専用のことがあります。予約の前に、店の名前や案内にある「女性専用」「男性専用」の表示を見ておきます。泊まれる年齢を決めている宿もあります(たとえばファーストキャビンは12歳以下、安心お宿は都内の店などで18歳未満は泊まれない)。
2人旅でも、カプセルは1人に1つ。男女の2人なら、夜はたいてい別々の階です。
女性ひとりでも、女性専用の店や、女性だけの階から選べます。
5 時刻と連泊 ― 昼のあいだの過ごし方は、宿で違う
昼は町を歩く人なら、宿で見ておくのは2つです。チェックアウトのあとも、荷物を預かってくれるか。続けて泊まる日に、昼のあいだも宿に戻れるか。
- ナインアワーズ ― チェックアウトのあとは、荷物を預からない。連泊の昼は、下のとおり
- ファーストキャビン ― 泊まる日に限り、チェックインの前もあとも荷物を預かる。連泊なら、チェックアウトは最後の日だけ
- 安心お宿 ― 24時間出入りでき、出かけるときのチェックアウトは要らない。新宿駅南口店では、チェックアウトの日まで荷物の預かりは無料
- ナデシコホテル渋谷 ― 連泊なら同じ部屋を使えて、チェックアウトは要らない
空港の店や無人の店などは、例外があります。
ナインアワーズでは、連泊でも毎日11時から15時は清掃のため、施設に入れず、ロッカーも使えません(ラウンジは使える)。荷物はロッカーに入れたままで出かけられ、15時からは、また同じカプセルで眠れます。
昼は町を歩いて、夜は寝に帰る。そういう日なら、昼のあいだ入れない時間があっても困りません。
時刻の目安
予定が変わって、着くのが深夜0時を過ぎそうなら、前もって宿へ連絡を。たとえばナインアワーズでは、0時を過ぎるときは問い合わせフォームで前もって連絡することになっていて、連絡がないと、泊まらなかった扱い(キャンセル料100%)になることがあります。
| チェックイン | チェックアウト | |
|---|---|---|
| ナインアワーズ | 15時から翌朝5時まで | 11時まで。延長はできない |
| 安心お宿 | カプセルは15時から(公式サイトから予約すれば12時から) | カプセルとロッカーは12時まで |
| ナデシコホテル渋谷 | 16時から | 10時まで |
(各社の公式サイト、2026年10月に確認。ナインアワーズの成田空港の店は、時刻が違います)
安心お宿では、チェックアウトの日も、ロッカーから荷物を出してフロントに申し出れば、15時までラウンジとお風呂で過ごせます。
街によっては宿泊税がかかります。くわしくは「宿のお金」の記事で。
6 お楽しみ ― 大浴場、朝風呂、手ぶらで泊まれるアメニティ
カプセルホテルの中には、大浴場を持っている宿があります。一日歩いた足を、広いお湯でのばせます。
町を歩いて宿に戻ったら、まず大きなお風呂へ。館内着に着替えて、ラウンジでひと休み。あとはカプセルに入って、眠るだけです。
- ファーストキャビン ― 大浴場(ない店もある)。サウナのある施設も一部に
- ナデシコホテル渋谷 ― 温泉旅館のようなデザインの大浴場
- 安心お宿 ― 早朝から開いていて、朝風呂も楽しめる
ナインアワーズは、個室のブースのシャワーです。
ナデシコホテル渋谷では、宿泊の階に上がったら、浴衣に着替えてくつろぎます。浴衣の着方は、「靴を脱ぐ・スリッパ・浴衣」の記事で。
手ぶらでも泊まれるアメニティ
館内着やタオルのほかに、身の回りのものまで用意している宿があります。安心お宿は、館内着、タオル、ドライヤー、化粧水や乳液、シャンプー、耳栓、ひげそり、歯ブラシ、ヘアアイロンなどをそろえ、手ぶらで来ても泊まれることを売りにしています。ファーストキャビンも、館内着やボディタオルのほか、洗顔料、メイク落とし、化粧水、乳液、コットンなど、女性向けのアメニティを用意しています(施設によって違います)。
荷物が少なければ、それだけ身軽に町を歩けます。
刺青があるとき
刺青があっても、隠せば使える宿があります。たとえば安心お宿は、刺青やボディーアートのある人は、宿が指定するカバーシールを付けて利用する決まりです。お風呂に入る前の考え方は、「大浴場と温泉」の記事で。
長い旅なら、洗濯も
洗濯ができるかも、宿で違います。ファーストキャビンには、有料のコインランドリーがあります。ナインアワーズには、ランドリーはありません。長い旅の途中に泊まるなら、予約の前に見ておくと、持っていく服を減らせます。
まずは、これだけ
- 着いたら、貴重品と荷物は宿の決めた置き場所へ(ナインアワーズや安心お宿ならロッカー、ファーストキャビンならキャビンの金庫)。カプセルの入口には、鍵はかからないことが多い
- ロッカーに入らない荷物は、フロントへ。チェックアウトのあとも預かってくれるかは、予約の前に宿の案内で
- 耳栓は、ファーストキャビンやナインアワーズならフロントでもらえる。音の出るものはヘッドホンで、食べるのはラウンジで
- 女性専用・男性専用の店がある。予約の前に表示を見る
- 連泊の昼の過ごし方は、宿で違う
あとは荷物を預けて、身軽に町へ。