数字と制度は、2026年10月22日に、観光庁・日本政府観光局(JNTO)・鉄道会社・バス会社・銀行の公式の案内で確かめたものです。空港のATM・券売機・宿の話は、このサイトの各記事(それぞれの記事に確認の時期があります)をもとにしています(お金の助言ではありません)。使えるかどうかや手数料は、お持ちのカードによって違います。
「日本は現金の国」と聞いた。いや、いまはカードでどこでも払えるらしい。どちらを信じて、財布にいくら入れていけばいいのか。
答えは、どちらでもありません。そして、いくら要るかは「何日の旅か」だけでは決まりません。
私たちのズバリはコレ! ― ふだんはカード。現金は「カードが通らない場面」の分だけ持つ
迷ったら、私たちはこうします。
- ふだんの支払いは、クレジットカードかデビットカードで。 国際ブランドのカードは、日本の各地でおおむね使えます
- 現金は、旅程の中の「現金でしか払えないかもしれない場面」を数えて、その分だけ。 そこに、カードが通らなかったときの予備を足します。予備は、宿へ戻るか、次に使えるATMまでしのげる分です
- 足りなくなったら、コンビニのATMで下ろす。 着いた日から使えます
式にすると、こうなります。
必要な現金 = 現金でしか払えない決まった支払い(予約のときに確かめる) + 着いた日と各日の現金の予定 + 次に使えるATMまでの予備
たとえば、こんな2つの旅なら。
- 東京と大阪の街だけ。宿はカードで払える → 決まった支払いは、なし。着いた日に空港から宿まで電車をタッチ決済やスマホのSuicaで行くなら、着いた日の分もほとんど要りません。残るのは、券売機の店などで食べる分と、予備だけ
- 田舎の宿に1泊。その宿は現金でしか払えない → 決まった支払いは、その宿の宿代(予約画面の額 __円)。そこに、着いた日と各日の分、予備を足します
日数も額を動かします。旅が長くなれば、券売機の店やお寺に出会う回数も増えるからです。でも、日数以上に額を大きく動かすのは、現金だけの大きな支払いが、旅のどこかにあるかどうかです。7日間の都市の旅より、田舎の宿に1泊する3日間の旅のほうが、現金が要ることもあります。
根拠はこう
「カードは便利」は91%、「カードで困った」は10.7%。別の質問で、両方に答えた人もいる
観光庁は毎年、日本を出る直前の旅行者に、旅行中のことを聞いています。2025年11月から2026年1月の調査(5つの空港・4,110人)では、こうでした。
- どこかの街でクレジット/デビットカードを「便利」と答えた人は91%。 理由のいちばんは「使える場所が多かった」
- 旅行中に困ったこととして、クレジット/デビットカードの利用を挙げた人は10.7%。 前の2年(7.0%・7.8%)より増えています
- 困った場所のいちばんは飲食店(困った人の32%)。困った中身のいちばんは「カードが使えなかった」(46%)
この2つは別の質問です。ある街では便利だったけれど、別の店では困った、という人は両方に入ります。足して100%になる数字ではなく、カードで払えた回数を数えた調査でもありません。
JNTOは、国際ブランドのクレジット・デビット・プリペイドカードは、日本の各地でおおむね使える、と案内しています。おおむね使える。でも、ときどき通らない。それが、いまの日本です。
ちなみに、経済産業省の国内の指標では、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%でした。これは日本の家計の支払い全体の話で、旅行者の割合ではありません。
現金だけ、またはカードが通りにくい場面は、決まっている
JNTOは、とくに田舎では、ホテルでも現金しか使えないところがあると書いています。田舎や人の少ない地域へ行くときは、前もって宿や施設に確かめ、現金を用意するように、と。
旅の中でよく出会うのは、たとえばこんな場面です。
- 小さな飲食店や、券売機の店 ― 現金だけの券売機もあります。1万円札が入らない機械もあるので、千円札があると助かります(「券売機の店」)
- 田舎の宿 ― 宿代そのものが現金だけ、ということがあります。そういう宿なら、宿代がまるごと現金になります(「宿のお金」)
- 交通系IC(Suicaなど)を駅の券売機で買う・チャージする ― JNTOによれば、券売機では現金だけで、クレジットカードは使えません
- 夜遅い空港バス ― たとえば成田空港から東京駅へのバスの最終便は、乗り場へ直接行って、車内で現金か交通系IC(Suicaなど)で払います。クレジットカードは使えません(「空港から市内へ」)
カードが使えるかは、店の入口やレジにマークで出ていることがあります。出ていなければ、入る前にカードを見せて聞くのがいちばん確かです。
電車は、クレジットカードのタッチで乗れる所が増えている
電車の運賃は、短い区間だと、クレジットカードやデビットカードで直接は払えないことがあります。ただ、ここ数年で変わってきました。
- 東京の周りの私鉄と地下鉄の一部は、タッチ決済に対応したクレジット・デビット・プリペイドカード(またはそれを入れたスマホ)をタッチして、そのまま改札を通れます。 2026年3月25日から、関東の11の鉄道会社と交通局の路線で乗り継いでも使えるようになりました(東京メトロ・都営地下鉄・京急・東急・京王・小田急など)。ただし、全部の駅ではありません。JR東日本は、この11の中に入っていません
- 対応するiPhoneなら、JR東日本の「Welcome Suica Mobile」というアプリで、スマホの中に交通系ICのSuicaを作れます。 チャージは、Apple Payに登録した、本人名義の使えるカードで。カードでチャージできれば、券売機で現金を使わずに済みます。位置情報をオンにする必要があり、国や地域によっては日本に着いてからでないと作れない・チャージできないことがあります。13歳未満は使えません。残ったお金は払い戻しできないので、使い切る前提で少しずつ
羽田から品川へは、京急に、タッチ決済に対応したクレジットカードなどをかざして乗れます(羽田空港の駅も品川駅も、タッチ決済で乗れる駅に入っています)。着いたその日から、現金を使わずに街まで行ける道もあるのです。
現金は、日本に着いてから下ろせる
セブン-イレブンの店の中のセブン銀行のATMなら、海外で出たカードで日本円を下ろせます。ただ、同じロゴがあっても使えないカードもあります。1回に下ろせるのは、原則10万円まで(磁気ストライプで読み取る取引は3万円まで)。羽田・成田・関西・那覇などの空港にも、海外のカードが使えるATMがあります。
だから、家から大金を持っていく必要はありません。セブン銀行のATMの手数料は、海外で出たカードの場合、カードのブランドによって違います。そのうえ、自分のカード会社の手数料がかかることもあります。使い方と手数料は「コンビニのATMで日本円を下ろす」で。
自分の額は、こう出す
ここからは、上の式を自分の旅に当てはめます。数えるのは、3つです。
1. 現金でしか払えないかもしれない場面
旅程を見ながら、次に当てはまる日を拾います。
- 田舎の宿に泊まる日がある(→宿に、カードが使えるか聞いておく。現金だけなら、宿代そのものを現金で)
- 地方の小さな店や、券売機の店で食べる日が多い
- 交通系ICを駅の券売機で買う・チャージする予定(→スマホのSuicaやタッチ決済で済むなら、ここは要らない)
- 夜遅く空港に着いて、バスで市内へ出る
- 城や神社・お寺をいくつも回る日がある(観光庁の調査で、カードで困った場所に挙がっています。入る前に、払い方の表示を見ておく)
当てはまるものの値段を、宿の予約画面や各社の公式で確かめて足します。ここが「持っていく現金」の中心です。
2. 着いた日の分
着いたその日に、いちばん困りやすい。だから、ここだけは先に考えておきます。
- 空港から宿まで、何で行くか(電車にタッチ決済のクレジットカードやスマホのSuicaで乗るなら、現金は要らない。成田空港から東京駅へのバスの最終便なら、現金か交通系IC)
- 着いた夜の食事(近くに券売機の店しかないかもしれない)
この分の円を、出発前に用意するか、着いた空港で手に入れます。大きな空港の到着ロビーには両替所があり、海外のカードが使えるATMがある空港もあります(どの空港かは「コンビニのATM」の記事に)。どれが自分に合うかは、手持ちのカードと、着く時刻で決まります。
3. カードが通らなかったときの予備
カードは、ときどき通りません。ATMも、カードによっては使えないことがあります。そのときに、宿へ戻るか、次に使えるATMまでしのげる分を、予備として持ちます。額は、その日にどこを回るかで決めます。
ATMは、どこでも24時間ではありません。JNTOは、ATMが夜に閉まっていたり、人の多い街では現金がなくなっていたりすることがある、と書いています。夜遅くまで動く日や、田舎へ行く日は、予備を少し厚めに。
出発前に、カードで確かめておく3つ
現金を減らせるかどうかは、カードしだいです。家を出る前に、自分のカード会社のアプリか窓口で。
- 海外で使えるか
- 海外のATMで現金を下ろせるか、暗証番号は分かるか(海外での引き出しを、自分で有効にしておくカードもあります)
- タッチ決済(かざして払う)が付いているか(タッチで乗れる路線もあります。使えるカードは各社の案内で)
海外で使いやすいデビットカードや、いくつもの通貨を入れておけるカードを作る人もいます。ただ、こうしたカードは作れる国が決まっています。 自分の国で作れるものかを、出発前に確かめてください。
お店でスマホで払うつもりの人も、ひとつだけ。JNTOは、Apple Pay や Google Pay、Alipay など海外のスマホ決済が、日本では使えないことがあると書いています。スマホだけに頼らず、カードも1枚持っていきます。
迷ったら、こう決める
田舎の宿や現金だけの大きな支払いが無い → 現金は「着いた日の分」と、次のATMまでの予備。 あとはカードで払い、足りなければコンビニのATMへ。
田舎の宿など、現金だけの支払いがある → その額を、先に数えて持つ。 宿には、カードが使えるか予約のときに聞いておきます。
どちらの旅でも、1万円札だけでなく千円札を何枚か。券売機の前で困りにくくなります。
- 現金の下ろし方 → 「コンビニのATMで日本円を下ろす」
- 空港から街へ → 「空港から市内へ、電車で」
- 宿で払うもの → 「宿のお金」