夜。荷造りが終わって、パスポートも玄関に置いた。あとは寝るだけ、というその前に、スマホを手に取ります。
家のWi-Fiにつないで、買っておいた旅行用のeSIMを入れる。明日の準備は、それでおしまいです。
翌日、日本の空港に降りて、機内モードを切る。データに使う回線を旅行用に切り替えると、地図が開いて、宿までの道が出ます。
この記事は、その2つの場面の話です。前の晩に入れると、着いた空港で切り替える。
前の晩に入れても、Airaloでは、多くの場合、日数は日本に着いて対応する回線につながったときから数えます。ほかの会社やプランは、入れたときから数えることもあるので、買う前にプランの説明で確かめておきましょう。
前の晩までに、やることは3つ
- 自分のスマホが、eSIMを使えるか見る
- プランを選んで、買う
- 家のWi-Fiで、入れる
あとは、着いた空港で切り替えるだけ。
1 自分のスマホで使えるか
iPhoneなら、iPhone XS・XS Max・XR 以降のモデルでeSIMが使えます。
もう1つ見ておくのが、SIMロックです。「設定」→「一般」→「情報」の「キャリアロック」が「SIMロックなし」になっていれば、旅行用のeSIMを入れられます。ロックがかかっていると、旅行用のeSIMは使えません。
ひとつ、例外があります。中国本土で買ったiPhoneには、eSIMに対応しない機種があります。香港・マカオには、SIMカードを2枚入れる機種があります。 この地域で買ったiPhoneなら、自分の機種の仕様を設定画面で確かめておきましょう。
Androidは、機種しだいです。Google Pixelは、3a以降でeSIMが使えます。Samsungは、同じ機種名でも、買った国によってはeSIMが使えないことがあります。機種の名前だけで決めず、メーカーの案内で確かめてください。
eSIMが使えなくても、方法はあります。「SIMカード」や「ポケットWi-Fi」は、それぞれの記事で。
2 プランを選ぶ ― 日数と、データの量
旅行用のeSIMは、日数とデータの量の組み合わせで選びます。3日から30日まで、数GBから「無制限」まで、並び方は会社ごとにさまざまです。
データがどれくらい要るかに、決まった目安はありません。地図と乗り換えが中心の旅と、動画をよく見る旅とでは、ずいぶん違います。足りなくなっても、同じeSIMにあとから買い足せる会社があります。
「入れる日」と「数え始める日」は、別
前の晩に入れたら、その日から日数が減ってしまうのでは? いちばん気になるのは、ここかもしれません。
Airaloでは、多くの場合、日本で対応する回線につながったときから数え始めます。ほかの会社やプランは、買う前にプランの説明で確かめてください。入れたときから数えるプランなら、入れるのは着く直前に。
もう1つ。データの量は、1日あたりではなく、期間ぜんぶで使う量、と説明する会社もあります。
「無制限」は、プランの説明を読む
「無制限」をうたうプランにも、使える量の決まりがあることがあります。たとえばAiraloの日本の無制限プランは、1日に3GBを超えると、速さが1Mbpsに落ちる決まりです。Airaloは、それでもメッセージや地図には足りるけれど、動画をたくさん見るには向かない、と説明しています。
「無制限」の中身は、プランの説明に書いてあります。買う前に、そこを読んでおきましょう。
テザリングと、電話番号
テザリングができるかは、スマホと回線しだいです。タブレットやパソコンにも分けたい人は、買う前にプランの説明で見ておきましょう。
次の節で例に挙げる2社のeSIMは、どちらもデータ通信だけです。電話番号はつきません。iPhoneでは、旅行用のeSIMだけを使っていても、FaceTimeとiMessageは自国の番号のまま使い続けられる場合があります。設定と料金は、元の通信会社で確かめてください。日本の電話番号が要るときのことは、「日本の電話番号が要る場面」の記事で。
3 会社の例 ― AiraloとIIJ
旅行用のeSIMを売る会社はたくさんあります。ここでは、形の違う2つを例に挙げます。
- Airalo ネットで買って、出発前に入れておける形。日本ではソフトバンクとKDDIの電波を使います。日数は3日から30日まで、「無制限」のプランもあります。
- IIJ(Japan Travel SIM) 日本の会社。データ通信だけで、データ量のプランは使える期間30日。日数を選べる「無制限」のプランもあります(こちらはSIMカードだけ)。ドコモの電波が届く範囲で使えます。ローソンなどのコンビニで買えます。
4 前の晩 ― 家のWi-Fiで、入れる
買うと、会社から入れ方が届きます。QRコードのことも、会社のアプリで入れることもあります。
- QRコード iPhoneのカメラで読み、出てきた通知をタップして、画面の案内どおりに進みます。確認のコードを聞かれたら、会社から届いた番号を入れます
- スマホが1台しかない iOS 17.4以降なら、メールやブラウザに届いたQRコードを長押しすると、eSIMを追加するボタンが出ます。もう1台の画面にQRコードを映さなくて済みます
- Android 設定から、eSIMを追加してQRコードを読みます。メニューの名前は機種によって違います
iPhoneでは、入れる途中で、このeSIMを家で使うか旅先で使うかを聞かれることがあります。旅先で使うほうを選びます。
入れ終わるまでは、Wi-Fiにつないだまま、途中でやめないこと。
入れ終わっても、今夜はつながりません。日本に着くまで使えないのが、ふつうです。それで準備はできています。
入れたら、消さずにしまっておく
入れたeSIMは、消さないこと。 旅行用のeSIMは、一度消すと、ふつうは入れ直せません。買い直しになることがあります。
うっかり消さなければ、何も起きません。使わないあいだは、消さずにオフにしておけば足ります。ただ、オフにしても日数が進む会社もあります。
買い間違えたかも、と思ったら、入れる前に会社に問い合わせるのが早道です。
5 着いた空港で ― 切り替える
飛行機を降りたら、機内モードを切ります。
iOS 26以降のiPhoneなら、旅行用のeSIMを入れておくと、着いたときに、旅行用のeSIMをオンにするか聞く通知が出ることがあります。選べるのは「旅行用のeSIMだけ」と「旅行用のeSIMと、いまの回線の両方」の2つです。
- 旅行用のeSIMだけ データは旅行用で使い、自国の回線は使いません。自国の回線のローミング料金を避けたいなら、こちら。FaceTimeとiMessageは、自国の番号のまま使い続けられる場合があります(設定と料金は、元の通信会社で確かめてください)
- 両方 データは旅行用のeSIMで使いますが、Appleは、自国の回線でローミング料金がかかることがある、と案内しています。両方を残すなら、自国の回線のデータローミングはオフにしておきます
続けて、データを節約する「低データモード」をオンにするかも聞かれます。データの量が心配なら、オンに。
通知が出なければ、「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」で、旅行用の回線を選びます。
データローミングは、旅行用の回線は会社の案内どおりオンに、自国の回線はオフにしておきます。
Androidでは、データに使うSIMを、旅行用に選びます。例えばPixelでは、データに使えるのは1度に1つのSIMです。メニューの名前は機種によって違います。
つながらないとき
画面に「圏外」や「SOSのみ」と出たら、まず次を。
- 旅行用の回線のデータローミングがオンになっているか
- 「設定」→「一般」→「日付と時刻」で、自動設定がオンになっているか(着いて時刻がずれていることがあります)
- 機内モードを30秒ほどオンにしてから、オフに
- 再起動する。旅行用の回線を一度オフにして、オンに戻す
それでもつながらなければ、eSIMを消す前に、買った会社に問い合わせます。くわしくは「つながらないとき」の記事で。
旅のあいだと、帰ってから
使ったデータの量は、「設定」→「モバイル通信」で見られます。使い切ると、止まったり遅くなったりします。そんなときは買い足しを。
帰国したら、iOS 26以降のiPhoneは、国や地域によっては、旅行用のeSIMを自動でオフにして、自国の回線に戻してくれます。戻っていなければ、自国の回線をオンにして、旅行用のeSIMをオフにします。
eSIMを消さずに残しておけば、次に日本へ来るとき、同じeSIMに買い足せる会社もあります。
前の晩に、寝る前のひと手間。着いたら、切り替えるだけ。空港の到着ロビーで、もう地図が開いています。