出発前に読む
このサイトでは、旅の準備に役立つよう、公的機関や高速道路会社などの案内をもとにした情報を提供しています(2026年10月時点。法律の解説ではありません)。雪道の走り方の案内は、地域や道路、車によって違うことがあるため、出かける前に、記事の終わりにある公式の案内と、借りる会社の案内を確かめてください。実際に雪の中で困ったときは、警察や道路の係員の指示と、借りた会社の案内に従ってください。
雪の朝、宿の駐車場で、屋根の雪を払って走り出す。橋の手前で少し速度を落とし、前の車とのあいだをたっぷりあけて、白い道をゆっくり進む。
雪道の走り方について、警察や高速道路の会社、JAFがそろって言っていることは、2つにまとまります。
「急」をつけない → 急ブレーキ・急ハンドル・急発進をしない
車間をあける → 前の車とのあいだを、ふだんより広くとる
そのうえで、先に知っておきたいのが、凍りやすい場所と時間です。
凍りやすい場所と時間 → 橋の上・トンネルの出入り口・日陰。朝晩と夜
1 「急」をつけない 急ブレーキなしで止まれたら、上手
ブレーキも、ハンドルも、アクセルも、ゆっくり動かします。
急ブレーキ、急ハンドル、急発進、急な車線変更。雪や氷の道では、「急」のつく操作を避けます。動き始めも、加速も減速も、「ゆるやか」「ゆっくり」が合言葉です。
急にブレーキを踏むと、タイヤが回らないまま車が滑り続け、思うように動かせなくなります。急な操作は、スピンなどを引き起こします。
冬タイヤを付けていても、踏み固められた雪の道は、ふつうの道より滑りやすいままです。4WDで何が変わるかは「冬タイヤ・4WD・チェーン」で紹介しています。
場面ごとに
走り出すとき アクセルはじわりと踏み、ゆっくり発進します。オートマチックの車なら、アクセルを踏まなくてもゆっくり進む動き(クリープ)を使って、じわりと出ます。急な発進をおさえる「スノーモード」などが付いている車もあり、名前や働きはメーカーによって違います。
カーブ カーブに入る前に、速度を落としておきます。ブレーキを踏みながら曲がると、タイヤが急にロックされて、ハンドルが効かなくなることがあります。
下り坂 フットブレーキだけに頼らず、エンジンブレーキを一緒に使います。オートマチックの車では、D(ドライブ)から S、車によっては 3 や 2 へ、速度を落としながらゆっくり切り替えます。表示は車によって違うので、借りるときに、その車での切り替え方を聞いておきます。
ブレーキ 早めに、やわらかく踏み、タイヤをロックさせずに止まります。
それでも強く踏んで、ABS(タイヤのロックを防ぐしくみ)が働くと、大きな音がしたり、ペダルが震えたりします。これはABSが働いているためで、故障ではありません。あわてて足をゆるめず、ペダルを踏み続けて、ハンドルで車を操ります。ただ、ABSは氷の上などでは止まるまでの距離が長くなることもあるので、ABSだけには頼りません。
ゆっくりが、腕の見せどころ
JNTO(日本政府観光局)は、英語の記事で「slower is safer」(ゆっくりのほうが安全)と書いています。
長野県警察は、英語の冬道の案内で、急ブレーキを踏まずに車を止められたら、それは上手な運転だ、と書いています。
止まりたい所の手前から、そっと踏んで、すっと止まる。雪道では、ゆっくり走ることが、そのまま腕の見せどころになります。
2 車間をあける ふだんより、ずっと広く
前の車とのあいだを、ふだんより広くとります。
北海道庁は英語の案内で、冬は、夏に要る車間の3倍以上をとるように、と書いています。早めに速度を落として車間をとっておけば、対向車や前の車がスピンするような思いがけないことにも、落ち着いて動けるように、という理由です。
すぐ前の車だけでなく、その前の車のブレーキランプまで見ます。北海道警察によると、冬の事故の多くは、前の様子に気づくのが遅れて起きます。
自動ブレーキがあっても
JAFが2017年に北海道で、踏み固められた雪の道と氷の上で行った試験では、新品の冬タイヤを付けた車の自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)は、どれも働きましたが、雪の道をごくゆっくり走ったとき以外は、止まりきれずに障害物にぶつかりました。結果は、車種や路面によって違います。
こうした機能に頼りすぎず、安全な速度と、十分な車間で走ります。
高速道路の雪の日
雪の日の高速道路は、天気や路面の状態によって、制限速度が変わります。走りながら、速度の標識も見ておきます。
高速道路で除雪車に出会ったら、追い越さずに、車間を十分にとって後ろを走ります。
前を行くのは、ただの遅い車ではなく、道を整えながら進む車です。
近づきすぎると、巻き上げた雪や凍結防止剤が飛んできます。追い越せば、その先は道の様子が変わります。NEXCO東日本の東北支社が受け持つ高速道路では、作業車の後ろの路面に緑の線「セーフティライン」が照らされ、これを車間の目印にできます。そして作業車の後ろは、路面が整えられているので、雪道や凍った道に比べて安全に走れます。
十分に間をあけて後ろにつけば、整えられた道を走らせてもらえます。
3 凍りやすい場所と時間 「手前」で、先に落とす
橋の上、トンネルの出入り口、日陰。その手前で、先に速度を落とします。
凍ったり、滑りやすくなったりしやすいのは、こんな所です。
・橋の上や陸橋
・トンネルの出入り口
・日陰や、日陰のカーブ
・交差点の停止線の手前
なかでも、風通しのよい橋の上や陸橋、トンネルの出入り口のあたりは、JAFが「もっとも危険」と呼ぶ場所です。ほかの場所より気温が低くなるので、手前で十分にスピードを落としておきます。
日陰のカーブは、雪がないように見えても凍っていることがあるので、カーブの手前で十分に減速します。
交差点の停止線の手前は、ブレーキと発進がくり返されて路面が磨かれ、滑りやすくなっています。北海道では、交差点や横断歩道のまわり、踏切の手前、にぎやかな通りのまわりも、特に滑りやすい所に挙げられています。
時間 朝晩と夜
昼間は濡れているだけの道も、夜になって気温が下がると、滑りやすくなります。冷え込む朝晩と夜は、昼間とはまったく別の道だと思って走ります。
出発のときに雪が見えなくても、場所や時間が変われば、道の様子は変わっていきます。
黒く濡れて見える道(ブラックアイスバーン)
黒く濡れて見える道も、凍っているかもしれないと思って走ります。
道の表面が凍って、濡れているように黒く見える道を「ブラックアイスバーン」と呼びます。白く見えないので凍っていることに気づきにくく、雪道でいちばん気をつけたい路面です。
JAFが2013年に北海道で行った試験では、ブラックアイスバーンは、見た目は濡れた道とほとんど差がないのに、表面が凍っていて、氷の道と同じように滑りました。夜は、とくに見分けにくくなります。
凍りやすい場所には、決まった顔ぶれがあります。橋が見えたら、トンネルの出口が近づいたら、日陰のカーブの前で。どこで備えるかが分かっていれば、雪道の運転は、ずっと身構え続けるものではなく、次の「手前」を探しながら進むものになります。
4 前が見えにくいとき 速度を落とし、道の端の目印を見る
周りが見えにくいと感じたら、速度を落とします。
吹雪や、強い風で舞い上がる雪、対向のトラックが巻き上げる雪で、前が見えなくなることがあります。
吹雪や地吹雪で、前の車のライトも見えないくらい視界が悪く、のろのろ運転に近くなったときは、ヘッドライトに加えてハザードランプも点滅させ、周りの車に自分の位置を知らせるように、とNEXCO中日本は冬の高速道路の案内で書いています。これは周りに自分の車を知らせるための案内で、走り続けるかどうかとは別の話です。吹雪で動けなくなったときのことは「道が閉まる日・止まる日」で紹介しています。
道の端の目印
道路の脇にある、道路との境を示す矢印や反射板のポールを見当に走ります。東北道などでは、緑の光で路肩の線を照らす「帯状ガイドライト」も設けられています。
休憩を、はじめから旅程に
冬道は気を使ううえに、吹雪などで見えにくい状態が続くこともあり、体が疲れやすくなります。サービスエリアやパーキングエリアで、早めに休みます。
休憩を、はじめから旅程に入れておきます。
止まる時間を先に予定に入れておけば、その時間も旅の一部になります。
晴れた日は、まぶしい
晴れた冬の日は、雪の照り返しでとてもまぶしくなります。サングラスを持っておくと楽です。
雪国の晴れた日は、それほど明るい日です。
5 出発の前と、停めるとき 朝は少し早めに車へ
朝、走り出す前にすることは3つです。
屋根の雪を落とす。
タイヤのまわりと、靴の裏の雪を払う。
窓の氷は、時間をとって暖房で溶かす。
夜、停めるときにすることは1つです。
ワイパーを立てておく。
屋根に雪を積んだまま走ると、ブレーキを踏んだ拍子に雪が前の窓へ落ちて、前が見えなくなることがあります。
タイヤのまわり(タイヤの入っている車体のくぼみ)に付いた雪はハンドル操作のじゃまになり、靴の裏の雪は運転中に足がペダルから滑るもとになるので、落としてから出発します。
JAFが2014年に長野県の菅平高原で行った試験(車1台を一晩停めたあと・最低気温マイナス6.3℃)では、凍った前の窓に、暖かい風を当てる暖房(デフロスター)を使うと、前が見えるようになるまで10分ほどかかりました。お湯をかけて溶かすと、温度差でガラスが割れたり、溶けた水がすぐに凍りついたりするおそれがあります。
濡れたワイパーは、凍ると窓に張りつきます。寒い所で停めるときは、ワイパーを窓から立てておきます。
朝は、少し早めに車へ。窓の氷が溶けるのを待つあいだは、雪の朝の景色を眺める時間です。
雪道に慣れていないなら 走る形を選ぶ
雪道に慣れていないなら、走る形のほうを選べます。
雪道はゆっくり走るぶん、ふだんより時間がかかります。1日に走る距離を短めにしておけば、ゆっくり走っても、予定に追われずに済みます。
雪道を走ったことがないなら、雪国の中は列車やバス、ツアーにまかせて、車は走りやすい区間で使う、という組み合わせもあります。
英語で読み直したいときは、JAFの英語のページ「What to be careful of on snow-covered and icy roads」があります。ニッポンレンタカーも、英語のお知らせで、雪や凍った道の走り方にこのページを挙げています。
車で走る区間と、列車やバスにまかせる区間を分ければ、雪の景色は、運転席からも、列車の窓からも眺められます。
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まずは、これだけ
急ブレーキ・急ハンドル・急発進をしない。
前の車とのあいだを、ふだんより広くとる。
橋の上・トンネルの出入り口・日陰の手前で、先に速度を落とす。