旅行用のeSIMで、地図も乗り換えも、家族への「着いたよ」も、いつもどおり。ところが、タクシーのアプリを入れたら、最初の画面に「電話番号を入力」。
ここで手が止まる人は、きっと少なくありません。旅行用のeSIMやSIM、ポケットWi-Fiには、データ通信だけで、日本の電話番号がつかないものもあります。
でも、番号が無くても、旅はたいてい回ります。日本の電話番号が要る場面は、思ったより少ないのです。特に知っておきたいのは2つ。アプリの登録で届く「確認コード」と、もしものときの電話。この記事は、その2つの乗り切り方の話です。
アプリの手順や決まりは変わることがあります(2026年10月時点の、各社・各機関の案内をもとにしています)。
確認コード ― 届かなくても、別の道がある
アプリやサイトに登録するとき、電話番号を入れると、SMSで数字の確認コードが届く。日本の番号が無くて困るのは、たいていここです。データ通信だけのSIMそのものは、SMSを受け取れないからです(自国の番号を残しておけば、そちらで受け取れることもあります。下で)。
ただ、確認コードの道は1本ではありません。
タクシーアプリ「GO」は、パスポートと自分の写真で
空港や駅から宿まで、スーツケースを転がさずにタクシーを呼べたら楽です。日本のタクシーアプリ「GO」の登録は、ふつうはSMSを受けられる携帯番号を入れ、届いた4桁のコードを打ち込む形です。
SMSが届かないなら、登録の画面の「Cannot receive a SMS message?」へ。メールアドレスとパスワードを決めて、メールに届く4桁のコードを入れたら、パスポートと自分の顔を写真に撮って、本人であることを確かめてもらいます。用意するのは、有効なパスポート、メールアドレス、カメラの使えるスマホ。
もう1つ。国によっては、その国の番号だと、日本の外からは登録できないことがあります。そのときは、日本に着いてから登録を。日本にいるのに登録できないときは、スマホの位置情報の使用を許可して、もう一度試してみてください。
自国の番号は、残しておくと役に立つ
自国の銀行やカード会社から届く確認コードを、旅先で受けたいこともあるでしょう。iPhoneなら、自国の番号はそのまま残し、旅行用のeSIMを足して、データ通信だけ旅行用で使う形にできます。eSIMの入れ方と切り替え方は、「eSIM」の記事で。
ただ、自国の番号が日本で電話やSMSに使えるかは、自国の会社しだいです。出発前に、契約先で確かめておきましょう。VoLTEやデータローミングなどの設定が要る会社もあります(たとえば台湾の中華電信)。データローミングをオンにするなら、料金のプランも一緒に(総合の記事で)。
LINEは、韓国・台湾の人なら自国の番号で
LINEは、香港・日本・韓国・台湾・タイの人なら、その国・地域の携帯会社の、SMSを受けられる番号で確認します。韓国や台湾から来るなら、自国の番号で使えます。ネット上の番号(バーチャル番号)や、データだけのSIM、Wi-Fiだけの端末では確認できません。
予約サイトは、メールでも確かめられる
食べログの英語版は、登録やログインの確認コードがメールで届き、予約の確認もメールです。SMSを受け取る必要はありません。ただ、電話番号の入力は求められます。予約の変更や取り消しのとき、予約で入れた番号を照合に使うので、どの番号を入れたか控えておきましょう。
もしものとき ― 110と119
使わずに済むのが、いちばんの話です。でも、手を知っていれば、そのときに落ち着いて動けます。
覚えておくのは、110と119。
- 110 警察(交通事故・犯罪)
- 119 救急車と消防(火事・交通事故・重い病気やけが)
どちらも24時間、無料です。
ただ、旅行用のデータだけのeSIMや、自国の回線のままのスマホでは、110や119にかけられないことがあります。日本の携帯会社にも、データだけのSIMでは緊急通報ができない、と案内している会社があります。
だから、スマホのほかに、手を2つ知っておきましょう。
近くの人に、この1文を見せる
いちばん早いのは、近くにいる人や、宿・お店の人に頼むことです。日本政府観光局(JNTO)も、救急車が要るときは、次の文を近くの日本人に見せて、呼んでもらうよう案内しています。
救急車を呼んでください。
(Please call an ambulance.)
警察が要るときは、同じように、この文を。
警察を呼んでください。
(Please call the police.)
スマホのメモに入れておくか、画面を写真で残しておけば、電波が無くても見せられます。
観光庁が監修した無料のアプリ「Safety tips」にも、周りの人に聞きたいときに見せるコミュニケーションカードがあります。
公衆電話は、お金が要らない
公衆電話から110・119にかけるのに、硬貨もテレホンカードも要りません。受話器を上げて、赤い緊急ボタンがあれば押してから、番号を押します。ボタンの無い緑の電話なら、受話器を上げて番号を押すだけです。
公衆電話は数が減っていますが、駅やホテル、観光施設では、まだ見かけます。
日本語が話せなくても
119では、全国のほとんどの消防本部(長野県はすべて)で、英語・中国語・韓国語の通訳が入ります(2025年1月時点)。
警察の110番も、東京の警視庁は、日本語が話せなければ通訳が入る、と案内しています。通訳が出るまでは、電話を切らずに待ちましょう。
台湾の外交部は、台湾から来る人に、日本語が話せなければ、まず自分が外国人だと伝える(たとえば「我是台灣人」)と、通訳につないでもらえる、と案内しています。
119で伝えること
消防庁の、訪日外国人向けの救急車のガイドは、つながったら、この順で伝えるよう案内しています。
- 救急であること
- 場所(住所が分からなければ、近くの建物や交差点。看板が読めなければ、地図アプリの現在地の画面を、そばの人に見せて)
- 具合
- 年齢
- 名前と、電話を切ったあとも連絡のつく電話番号
最後の番号は、場所が見つからないときなどに、救急隊から連絡するためのもの。日本の番号が無ければ、そう伝えて、そばにいる人や宿の人と相談してください。
圏外で、まわりにだれもいないときのことは、「つながらないとき」の記事で。
緊急ではないけれど、困ったら
道に迷った、どうしていいか分からない。そんなときの電話の窓口が、JNTOの「Japan Visitor Hotline」(050-3816-2787)です。24時間365日、英語・中国語・韓国語で、旅の案内をしてくれます。事故や急病なら、まず110・119へ。そのあとの困りごとの手助けもしてくれます。かけるときは、宿の電話や、通話できる回線から。ただ、予約を代わりに取ったり、三者で通訳したりはしないのが原則です。
日本の番号つきを選ぶなら
どうしても日本の番号が欲しいなら、070・080・090で始まる日本の番号がつくSIMやeSIMもあります。たとえばMobalの番号つきのプランは、SMSを受け取れます。申し込みにはパスポートの原本が要り、18歳未満は申し込めません。
050で始まるネットの電話番号は、別物と考えておきましょう。たとえばブラステルの「My 050」は、110・119にはかけられず、SMSも受けられません。
まずは、これだけ
- タクシーアプリ「GO」は、SMSが届かなくても、パスポートと自分の写真で登録できる
- 自国の番号を使うなら、日本で電話とSMSが使える設定かを、出発前に自分の会社で
- 予約サイトに入れた電話番号は控えておく
- 「救急車を呼んでください。」「警察を呼んでください。」を、スマホに入れておく
- 110は警察、119は救急車と消防。公衆電話からは、お金が要らない
日本の番号が無くても、タクシーは呼べるし、メールで確かめられる予約サイトもある。もしものときの手も、もうスマホの中に入っています。